マガジンのおまけ「あいうえお小説」


Magazineの末尾に、毎回実は付いている、続き物の小説です。


れは或る昼下がりのことであった。まさっき食べた定食の名前が思い出せず、僕は所在なく通りを行きつ戻りつした。

どんだったか、そばだったか、それすらも自信がない。物覚えの悪い方でもないー寧ろ良い方だ。その証拠にこうしてあの日のことを思い出しているし、緊張する方でもないのだが、いつもの僕とは明らかに違っていた。

延々(んえん)と思考を巡らせているうちに、唐突に目の前に人の気配を感じて僕はのけぞった。

シン・・・?」昼ご飯も思い出せない僕だったが、その人の顔を見ると不思議とその3文字の言葉が浮かんだ。

の人のまとう空気感に、僕は忽ち懐かしさを覚えた。

(つづく/次回更新 2月27日)